骨砕き

どこにでもあるような木材から削りだした持ち手と、
使い道のなかったあまりの銑鉄からできている。
どこにでもいるような年老いた鍛冶屋が

年の初め、ずっと開けていなかった小屋の扉を開
けるためにこしらえた。

どこにでもあるようなその扉の向こうは、見たこ
とのない数の人骨で埋め尽くされていたが、年老い
た鍛冶屋は誰にも言わなかった。

どこにでもいるような年老いた鍛冶屋の
どこにでもあるようなその道具は
骨砕きといわれるようになった。