護衛兵士の剣

この剣の元の所持者は、かつて封印騎士団に所属し、“竜の
子”と呼ばれる者の先輩騎士であった。

稽古にかこつけて、懲らしめるつもりで、“竜の子”と試合を
し、逆に無様にも敗れ去ったこの剣の元の所持者は、鍛錬
を積み重ね、護衛兵士にまで昇格した。

護衛兵士として小隊の指揮をとっていたその者は、ある時、
“隻眼の男”と呼ばれる反逆者に、自分の隊を殲滅され、恐
怖のあまり逃げ出した。

騎士団に戻れなくなったその者は、騎士の命ともいえる武器
をも、なくし、何処かに消えたという。