結束の剣

ベヒモスの牙、グリフォンの嘴、竜の爪、遥か東の国の玉鋼。
名匠と言われた彼でも、国王の注文の品の材料に頭を抱え
ていた。やり遂げる気はあったが、かなりの覚悟が必要であっ
た。長い旅になる。彼は早々に旅立った。

旅には手助けが必要だったが、疲弊しきっていた王国に旅を
共にできる余裕のある人間はいなかった。だが、国王の依頼を、
彼はなんとしても果たしたかった。まだ若い王は民を守ること
のできる剣を、古い文献から探し出し、彼の工房に自ら足を運
んだのだった。

何とか捗らぬ旅を続けたが、魔物の巣くう地の前ですでに二
ヶ月が経っていた。もはや一人での旅は難しく彼自身、憔悴し
きっていた。そんな折、留まっていた地の時の英雄が訪れ、彼
の手伝いを買って出た。武具の手入れに彼は活躍した。

そして数々の英雄譚に添えられることとなりながら、彼は一
振りの剣を完成させる。それは王が求めた程の力はなかった
ものの、王は感激し、その剣を手に魔物と戦い、国を治めた。
また鍛冶屋であった彼には爵位が与えられ、王国に長く仕えた。