悪魔の鉄棍

ある村に力自慢の男がいた。心優しい男だったが、貧しい村
を豊かにしようと義勇軍に志願する。村人は男の為に金を出
し合い、彼の怪力を生かせるようにと、一振りの鉄棍を贈った…

戦場は男にとって、地獄そのものだった。血で血を洗う惨状に
おののき、鉄棍を振るうこともなく逃げ出してしまう。男はとぼ
とぼと村へ帰った。

村は焼き払われ、村人は惨殺されていた。敵軍の仕業だった。
男は天を呪い、自分の無力を呪い、すべてを呪って悪魔に力
を請うた。

戦場に戻った男は、壊れたかの如く鉄棍を振るい、幾百の敵兵
を叩き潰した。最期に自らの頭をも潰し、男の呪いを受けた鉄
棍だけが残った。

Another Story in DOD