未亡人の咎

昔々ある所に、いつも一緒に遊ぶ三人の子どもがいました。
少年二人と少女が一人。少年のうち一人は庭師の弟子となり、
もう一人の少年は将校となり、少女は美しい娘に育ちました。

ある日娘は父を失い、貧困に窮した家を守るため、結婚する
ことになりました。相手は幼馴染の将校の青年です。
夫になった将校の青年は翌日戦地に赴くと決まっていました。

翌朝必ず戻ると笑った夫を見たのはそれが最初で最期でした。
一晩で未亡人となった娘は、窓から外を眺めていました。
彼女の心を慰めたのは夫が残した美しい庭の景色でした。

庭は季節や朝晩に応じて異なる景色を見せ、彼女を癒しました。
けれど彼女は庭を整え続けていたのが幼馴染の青年だとは
終ぞ知ることもなく、病で早逝したのでした。