千年樹の嘆き

おや旅のお方、道に迷われたのかい?大変だったねえ。
ああ、あんたは学者さんか。この村には図書館があるよ。
あんたみたいなお方にはたまらない場所だろう?

図書館には親切な館長さんがいてね、しかもこれが美しいのさ。
あの人は本を大切にしていて、千年以上前の書物の写しなんかを
ずっと続けて知識を絶やさないようにしているのさ。

美しいからって惚れてはいけないよ。村の噴水の傍で歌う館長に
よく似た美しい娘がいるんだが、彼女が許さないだろう。
彼女のおメガネに適わないと近づく事さえ許されない。

そうこの村はあの美しい双子の娘達に守られているのさ。
いつからだったかな?忘れちまったけれど、ずっとずっと
守られているんだよ。変化さえなければ永遠にずっと、ね。