友愛の槍

貧しい国に黒と白の甲冑を着た二人の騎士がいた。彼らは幼き頃に
交わした「この国を豊かにしよう」という約束を胸に、切磋琢磨
し、戦地を駆け廻り、時折杯を交わしては夢を語り合った。

しかしながら二人の騎士の思想は徐々に異なっていく。
傲慢な王に苦言を呈す黒騎士、王国のためにと忠誠を誓う白騎士。
旧知の仲とは思えぬ程に、不思議と彼らは相反していった。

ある時、王の圧政に反発をした一部の騎士による反乱が起きた。
その戦闘に立つは黒騎士、そしてそれを迎え討つは奇しくもかの
白騎士である。そして白騎士は黒騎士を討ち、後に将軍となった。

将軍となった白騎士は、政務によって王の圧政を正し、国を豊かに
した。王からは褒美にと豪奢な槍を差し出された。しかし白騎士は
これを固辞し、友を仕留めた槍を死ぬまで使い続けたという。