高潔なる飾剣

私が仕える王子が守るべき国は、彼が王になる前に
それはひどい戦争で滅びてしまいました。
あろうことか裏切り者がいたのです。

私が仕えた王子は健やかに成長し、強く美しい青年となりました。
再び国を再興すべく決起し、見事目的を果たし王となったのです。
それはもう素晴らしい国でした。

けれどその国も既に滅びて地図にも載っておりません。
王も国が滅びる時に逝ってしまわれました。

こちらがあの方が生涯手放さなかった形見の飾剣でございます。
ああ、王が終ぞ私を疑う事なく逝ってしまわれたのが心残りです。
どこにでもある他愛のないお話でございます、お恥ずかしい。