鉄塊

長きに渡る惰眠により鈍らと化した刀身は、その名の通りただの鉄の
塊だ。血に彩られし過去は全て赤錆び、ざりざりと音を立てて剥が
れていく。

不快な重みしか与えないこの塊を、誰が振るおうか。斬るのではな
く肉を叩き潰すだけのその塊を、誰が好もうか。振るうほどに狂気
に駆りたてるその武器を、誰が愛そうか。

眠り続ける平穏に安堵する。戦わなければ血でこの身が砥がれる
事もない。このまま崩れて滅びる事も出来よう……だが、力を求め
る愚か者達はその安らぎを許しはしなかった。

剥がれ落ちる赤錆びは鉄の涙。血と肉と脂に塗れる姿こそが呪いの
証。ならば筋を斬り割こう。肉をすり潰そう。骨を砕こう。それが我
が身の贖罪であるのなら。

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