渇きの戦斧

数多くの病人を治してきた名医がいた。
彼の名声は都まで届き、やがて時の国王が召し
抱えるまでになる。

数年の後、国の王女が不治の病にかかった。
名医といえど、どうすることもできず、彼女が楽
に逝けるようにしてやるのが精いっぱいであった。

娘を失った国王は医師を逆恨みした。医師の家
族すべてを処刑すると宣言。懇願する医師の言
葉にも耳を貸そうとしなかった。

激怒した医師は、王家の井戸に毒を投げ入れる。
水を飲んだ王室の人間は喉が焼けただれ
絶命した。その水で研いだのがこの斧である。