匠のつるはし

その男が手がけた建造物の数々は、その美しさか
ら国の宝と称えられていた。数々の建造物を生み
出すこのつるはしもまた、神器と称えられた。

ある時、隣国との間に戦が勃発した。
国中の男達が徴兵される。
男もまた、例外ではなかった。

破壊を好まない男は、戦には向いていなかった。
戦禍の中で、男は殺され、男の築いた美しい
街並みは破壊された。

想像を好む男は、殺される最後の瞬間まで、人を
殺めなかったという。この神器が次の主にもたらす
のものは、破壊の力か、創造の力か。