背理の鎌

ある風の精霊が人間の若者に恋をした。
精霊が人間と交わるのは禁忌であるにも関わら
ず、彼女の想いは日々募るばかりであった。

種族を裏切る精霊に与えられるのは死である。
風の精霊の長は彼女の首を刈るように仲間に命
じ、精霊にのみ効果があるという鎌を用意する。

気配を察知した彼女は、最後に若者にひと目逢
おうと、森を駆け、海を渡り、山を飛ぶ。だが鋭い
鎌を持った追っ手が彼女を追い続ける。

数年後、村ではある少年が元気に飛び回ってい
た。少年は自在に風を操ることができたのであ
る。父親は彼を見守り続ける。何も語らずに。

Another Story in DOD2