武芸に秀でた兄弟が治める国があった。剛の武を
持つ兄と、柔の武を持つ弟。兄弟は非常に仲がよ
く、国政はいたって安定していた。
ある日、一人の少女が兄弟に質問をした。
「お二人は戦いで負けたことがないとお伺いしま
した。では、お互いが戦うとどうなるのですか?」
二人は、お互いに自らの優位性を主張し合った。
それは激しい口論になり、末には兄弟同士で殺し
合いをはじめてしまった。
この争いを見かねた神は、天から怒りの槍を降ら
せた。槍は兄弟を貫き、二人は息絶えた。人々は
神の怒りを恐れ、この槍を祭壇に祭ったという。