牛を飼うことで生計を立てている小さな村があっ
た。だが、その牛を狙って狼の一団が村を襲うよ
うになる。
牛飼い達は必死で守ろうとしたが、狡猾な白い狼
があざけるかのように村人達をあざむき、日々犠
牲になる牛が増えていった。
「村を捨てよう」そんな話が出たときに、村でいち
ばん無口だった牛飼いが槍を持って外に出て
いった。村人達に誰一人止める者はいなかった。
二日後、村の近くで白狼の死体と槍だけが横た
わっていた。村人達は牛飼いがいつでも戻れる
ように、槍を村の入り口に掲げ、大切にしたという。