鋸状の刃で相手の剣と肉を切り裂く剣。この剣を
あまり使い過ぎると引き裂く時の振動で指がしびれ、
蝋のように真っ白くなり体が動かなくなる。
今よりも何百年も昔、黒き肌の騎士はこの剣を使
いこなし数々の武勲を立てていった。
次第に漆黒の体は雪のように白くなってゆく…。
時が経ち、国の威信を懸けた大戦で敵大将の首を
討ち取り勝利を治めた黒き騎士。彼の体は既に白
を超え透明で誰の目にも見えなくなっていた。
勝利に喜び歓声が上がる中、一人の兵士が空に向
けて放った祝矢が黒き騎士の心臓を貫く。しかし
兵士達は誰一人、彼の死を知ることがなかった…