十八年前、世界が破滅に瀕した時、一人の男と一匹の竜が
神に抗った。男は命を賭して戦い、竜は男の為に世界を救った。
残された男は失った半身と心焦がす赫怒の残滓にすがるよう
に、荒廃した世界を彷徨った。その放浪には、神の器として破
滅を巻き起こした幼き少女が伴われた。
竜の命を用いた封印を改変し、身を捧げた竜への負担を倍
増させた老司祭は、かつての仲間の一人だった。竜の苦しみ
の思念を感じ取った男の心は大きく揺らいだ。その隙を突いた
少女は、男の不意をついて逃走。男は再び訪れた孤独の中
で、憎悪をたぎらせる。空虚だった男の心は、灼熱の炎で満た
された。
男は竜を裏切った老司祭を襲い、命乞いを聞き捨てて一刀
のもとに両断した。最後の儀式に使われる男をも斬り、封印
改変を阻止した…はずであった。しかし封印は組み替えられて
しまった。竜の意識は苦痛に引き裂かれ、千々と消えていった。
そして男は世界より竜を選んだ。
封印の鍵が次々に打ち砕かれ、ついに男は竜と再開する。
世界の破滅が再び迫ってきている。だが男と竜は満ち足りて
いた。二人はもう二度と別離の苦痛を味わいたくなかった。
二人が選んだ答えは…。そして滅びゆく世界に、男の大剣が
残された。