鍛冶屋は完全な剣を求めていた。斬れば、肉を断ち、尽きぬ
痛みが襲い、突けば五臓を貫き、無限の苦悶を被害者に与
える剣。
究極の痛みを目指し、鍛冶屋は寝食を忘れ、夢中で槌を振
るった。そして、ついにその剣は完成した。あらゆる痛みを超
えた痛みを与えることができる剣。鍛冶屋はその成果を試し
たくて仕方がなかった。
そこで鍛冶屋はある王にその剣を以てすれば、どのような豪
傑もすべてを白状すると売り込んだ。王が罪人に試してみる
と、言葉どおり、どんな罪人もすぐに口を割った。
喜んだ王は、その剣の製法を鍛冶屋に尋ねたが、鍛冶屋は秘
密の製法を喋ることを拒んだ。結果、鍛冶屋は自らの身を以て
その成果を知ることとなり、その素晴らしさに涙したという。