北海の歌姫

北の港の 小さな酒場
綺麗な娘が 訪れた
透き通る肌 透き通る声
酒場の男は 皆惚れた
杖を片手に 身軽な姿
店主に一言 ここで歌うわ

娘に会おうと 男は集まり
ほどなく店は 賑わった
娘は歌った 美しい海
男は聴いた 美女の声
娘に恋した 男らだったが
返して一言 あなたじゃないわ

ひと月ほど経ち 娘の酒場に
旅する少年 やってきた
無垢な瞳に 端正な顔
何より笑顔が 魅力的
娘は悟った この人しかない
彼に一言 あなたに決めた

明くる日娘は 少年と消え
部屋に残った 杖・手紙
杖はお礼で 行き先は海
どうやら娘は 海の精
優しい男ら 笑顔で言った
それならそうと 言えばいいのに