マナの杖

今から十八年前……。少女は暗い森の中で佇んでいた…。
母に捨てられた少女。母への想いは次第に歪み、狂気へと
変貌する…。“神”は彼女の狂気に魅入り、媒介として世を
制することを託した。そして…暗闇の中で赤く灯る瞳…

赤き瞳の少女は世界に混乱を招く。崩れゆく世界に心を癒
される少女。しかし、その至福の時も、ある“男”の剣によっ
て奪われる。世は治まり…男は少女を連れ贖罪の旅に出る。
己の罪に背を背ける少女……だが男はそれを許さなかった。

ある日、男は突然に空を見上げた。男の瞳には激しい憎悪が
あった。いったい何があったのだろう…少女にはわからなかった
が、隙を見せた男に隠し持っていた短剣を突き刺した。咄嗟
に払われる幼き身体。次の瞬間少女は谷底へと消えていった……。

数年後…彼女は“赤い記憶”を失いとある貧しい村で暮らし
ていた。そこで彼女は、人々を苦しめ続ける封印騎士団の存
在を知る。そして…皮肉にも嘗て世界を混乱に陥れた少女は
世界を救うために杖を握る…。再び……封印崩壊のために……。