少年の欲望

その昔、娘達を次々と騙し、愛と財を奪い続けた少年がいた。
怒った娘達は、妖精王の力を借り、少年を生きながらに剣の
中に封印した。冷たい刃の奥深くから、少年は己の罪深さを
嘆き続けた。時は経ち、老いた娘達は次々と死んでいった…

娘達が一人死ぬ度、剣の中、老いを知らない少年に、止まって
いた時間が戻っていく。同時に少年の後悔の念が薄れ、日に日
に娘達に対する憎しみが増していく。娘の最後の一人が死ん
だ時、ついに呪いは解け、少年は元の体に戻った。

自らの肉体を再び手にした少年の欲望は、止まることを知ら
なかった。少年は過ちを繰り返す。娘達を次々と騙し、財と愛
とを奪っていった。ある日、少年は美しい少女と出会い、生ま
れて初めて恋に落ちる。少年は、財産や愛、すべてを少女に捧
げた。しかし、少女は見向きもせず、他の男の下へ去ってい
った。

少女は、少年と同じ罪を犯していた。次々と男を誑かし、財と
愛とを奪う少女。怒った男達は、この剣に少女を封印しようと
した。封印の呪文が読まれようとした時、少年は少女を突き飛
ばし、自ら剣の中に入った。少年はその愛で刀身を真っ赤に包
み、少女を護り続けたという。

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