慟哭する円環

どうして私の魔術を誰も認めない。なぜ私を称賛し、敬わない。
なぜどうしてあいつがあいつがあいつが。
あいつに勝ちたい。勝ちたい。あいつを打ち負かしたい。

あいつがいるから全ての魔術を奪うあいつがいるから
私は正当に評価されないのだ、全てにおいてあいつが悪い。
だからあいつを殺すのは私の責務だ。人類の糧だ。正義だ。

禍々しく歪んだ刀紋は呪いの言葉をたやすく飲み込む。
やはり私は間違っていない。この呪われた剣であの魔術師を滅ぼし、
私こそが偉大なる魔術師として崇めたてられるのだ。

ああ面白い!ああ嬉しい!ああ楽しい!さっきまで魔術師だった
血塗れの物体を眺めながら大笑いし、興奮に足がもつれ枯れ井戸に
落ちるまで、私は確かにこの世で最も偉大な魔術師だった。