少年が走る。閃光と共に鋭い切っ先が軍勢の中を走る。
瞬く間にいくつもの首が落ちて、血しぶきが舞う。
少年はその痩身に似合わぬ大振りの刃を回し、再び走り出す。
目指すは将校の首。「兄達の仇!」叫ぶ声は幼く甲高い。
兵を切り捨て進むも将校に辿りつく前に軍勢に取り囲まれる。
少年はいくつもの刃を受け、とうとうその場で命果ててしまう。
馬上から遺体となった少年を見下ろした将校は、部下達に
「捨てろ」と一言命じ、その後黙って馬を走らせた。
将校は止まらない。例え死したのが己の息子だとしても。
少年の死により将校の息子は残り3人。己が命を奪った者に
家督を譲る馬鹿げた遊び。将校は血濡れの道を走りながら、
いつか受けるであろう神の雷が早く我が身に訪れるよう願った。