岩山の痩せた土地に広がる貧しい村に、敬虔な修道女がいた。
彼女の深く静かな祈りは貧困に喘ぐ村人達の心を癒やしていた。
修道女の祈りは、村人の心に咲く可憐な花のようであった。
ある時、村に謎の奇病が流行し、罹患した人々は次第に黒ずむ体に
成す術なく苦しみもがき死に絶えていった。
修道女は祈った。祈り続けた。けれど伝染病は止まらない。
修道女が祈り始めた頃から、奇病で死した体から花が咲き始める。
次々と倒れる中、遺体を苗床にするかの如く花は咲き続け、
やがて濃厚な花の香りが村一帯を覆い尽くした。
それからどうなったのか、誰も知らない。
だが、村があった場所には今でも
季節を問わず大量の美しい花が咲き続けている。