その国は女王が治めていた。彼女は魔女だった。
強大なる魔力で人民を統治し、圧政で苦しめ、意味もなく次々と
虐殺して楽しんでいた。
しかし、女王は飽いていた。
泣き叫ぶ人民を拷問し、怨嗟の声を聞きながら酒を飲む。それは
楽しい事だったが、何事も同じ刺激が続くと飽きてしまうのだ。
何人もの勇者が私を滅ぼそうと城にやってきた。
最初の2~3人は楽しめたが今ではもうすっかりダメだ。奴らは
あまりにも単調過ぎる。こっちは勇者に慣れ過ぎてしまった。
そうだ。私を討つ勇者がいないのであれば、その勇者を生み出せば
いいのだ。強い子供を産めばいいのだ。
母である私を滅ぼす程の力を持つ、おぞましい勇者を。