とある山に長く伸びた針を体中から生やした魔物がいた。
触れるモノを全て傷つけてしまう魔物は、小さな白い鳥に出会う。
鳥は枝にとまり魔物と会話した。魔物は白い小鳥に触れたかった。
やがて魔物は針を自ら取り除くことにした。針を一本抜いては
血が流れ激痛が走る。魔物は叫んだ。七日間断続的に続く雄叫び。
近隣の人々は山から聞こえるその咆哮に怯え続けた。
あの針だらけの呪われた魔物が近隣の村を襲うに違いない。
村人達は発起し七日目の晩、山に武装して乗り込んだ。
そこで村人が見たものは、辺りに散らばった恐ろしい量の針の山。
それから針山の中心で血まみれで息絶えている見知らぬ生き物。
傍には小鳥が見知らぬ生き物の血で赤く染まった白い羽を広げ、
優しく触れるように寄り添い、ピイとないていた。