女は娼婦だった。女は娼婦だった。客をすぐに好きになってしまう娼婦だった。
だが、女が客に結婚を申し出ると客達はすぐに逃げ出した。
女は自分の仕事が疎まれている事すら分からなかった。
ある日、偉そうで不細工な男が女の客としてやってきた。
一通りの行為の後、女は男に結婚を願い出た。
男は涙を流し始めた。彼は誰にも愛されないこの国の王だった。
王と結婚した女はこの国の后となった。そして結婚式の直後
女の前で王は心臓病で突然死んでしまった。
莫大な遺産と王権が女の下に転がり込んできた。
金も権力も手に入れた女は思う。ここにはもう愛した男は居ない。
あと少しだったのに。私の幸せまであと少しだったのに。
男の唯一の形見である槍を持ち、王宮から女は逃げ出した。