断罪の咆哮

彼は罪を犯した。
続く飢饉に増加の一途を辿る徴税、行方をくらました両親。
やせ衰え行く弟妹達のために彼は罪を犯した。

彼は手に入れたパンと牛乳を5人の弟妹に分け与えた。
幼い弟妹に全てを与え、彼はパンも牛乳も一切口にしなかった。
少しでも味わいたいとずっと咀嚼し続ける弟妹を眺めていた。

彼は罪を犯した。
やがて彼が豪商からパンと牛乳を盗んだことが露見したが、
断罪されたのは盗んだものを口にした幼い弟妹達だった。

幼い弟妹達は首と胴が汚く分断され路上に転がっていた。
鞭打たれた体で一命を取り留めた彼は、あばらが浮き上がる
弟妹のやせ衰えた体を眺め、やがて声なき声をあげたのだった。