この世のものとは思えない苦痛の悲鳴と共に、ぐしゃり、と頭骨が砕
ける音がした。男は泣きながら何度も何度も打ちすえる。やがて相
手は物言わぬただの肉塊になった。
男には誰もが羨む美しい妻がいた。平凡な暮らしではあるが生きて
行くのに困ることもなく、ただただ平和を享受し、妻を養う為に真面
目に働いた。男はとても幸せだった。
とある夜のこと。仕事から早めに帰宅した男は、妻の部屋から出て
行く青年の姿を見た。妻は無理矢理に行為を迫られ、抗うことが出
来なかったのだという。男は激怒し、復讐を誓った。
男は苦痛を与えることで有名な職人の武器を手に入れると、妻に殴
りかかった。男にとって憎き復讐の対象となったのは、どんな状況
でも貞淑を守り切れなかった妻だったのだ。