エンジンブレード

広い広いお部屋。小さな王子は一人で寝ていました。
とうさま、とうさま。本当はひとりじゃこわくて眠れないの。
でも王子はがまんしました。忙しい王様を困らせたくなくて。

広い広い執務室。孤独な王は一人政務に追われていました。
本当は家族を……息子を優しく抱きしめてやりたい。
だが駄目だ。僅かな時間も、民の為にこの国を支え続けねば。

ひさしぶりの親子の夕食。父王は息子に欲しい物を問いました。本
当は、息子と二人、ゆっくりと過ごしたかったのだけど。
やがて、息子はゆっくりと、ある一振りの剣を指差します。

それは王家に伝わる剣。国を継ぐ覚悟の証。「いつかな」と呟く父王
の笑顔はどこか寂しく。王子も少しだけ微笑みを返し。
……本当は、一緒に絵本を読んで欲しかったのだけれど。