その黒く醜い槍を作ったのは、美しい女刀鍛冶だった。その刃先を
誰もが褒め称えたが、嫉妬した若い弟子の少年によって女は殺され
た。槍の行方は誰にも判らなくなったと言う。
二番目の持ち主は人形を操る傀儡師だった。彼の最高傑作は美しく
何でも出来る少女のからくり人形。傀儡師が人形に槍を持たせる
と、見事な槍さばきで傀儡師を切り刻んだ。
三番目の持ち主は生まれたばかりの王子。後継者の証として槍を与
えた女城主は、その後すぐに亡くなってしまう。葬儀の夜、王子の
部屋から槍は消え、赤子の遺体だけが残っていた。
四番目の持ち主は愚直な父親だった。父親には病の娘がおり、彼女
の為なら何でもする覚悟があった。やがて父は、その決意のまま
に全てを捧げた。彼の存在と、この世界の全てを。