ある国に2人の王子がいた。第一王妃の子は賢いが体が弱く陰鬱
で、第二王妃の子は頭は悪いが明るく武勇に優れていた。
どちらの王子が正式な後継者か。王はその決定を下さぬままに戦で
命を落としてしまう。残された王子たちは当然のごとく継承権を主
張し合い、民を巻き込んで対立した。
醜い王位争いの中、王の子を名乗る第三の王子が現れた。それは
智勇兼備で王として申し分のない青年。青年は愚かな兄たちを屠る
と王位に就き、以降は名君として名を馳せた。
数十年後。王は亡くなる間際に民に告げる。自分は前王の子ではな
く、ある貴族が仕立てた貧民の子であると。それを聞いた民衆は、
王でなくなったその男を吊るし首にした。