白の矜持

その白く美しい槍を作らせたのはある国の暴君だった。美しい妻へ
の贈り物として装飾された武器。妻は暴君と共に寝所に赴き、親の
仇である暴君の腹を三十回槍で突き刺した。

二番目の持ち主は勇猛なる女戦士だった。彼女は何人もの野盗を斬
り殺し、英雄となり、街の長となり、年月を経て老婆となり、月の夜
に若い野盗に囲まれ、全てを奪われ、殺された。

三番目の持ち主は商売人の女だった。彼女は強欲で、人から金を奪
うように生きていたが、やがて誰も近づかなくなり首を吊る事にな
る。飾られていた槍は一度も使われる事はなかった。

四番目の持ち主は素直な少年だった。少年には病の妹がおり、彼女
の為なら何でもするつもりだった。やがて少年は妹の為に全てを捧
げた。彼の存在、そしてこの世界の全てを。

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