少女は生まれた時から婚約者がいると聞かされて育てられました。
家の中で日々花嫁修業に励み、夜は窓から見える景色に向かって婚約者へ祈りを捧げました。
「●●様、早く迎えに来てくれる日をお待ちしています。」
少女が暮らす家には、同じ年頃の少女が何人も暮らしておりました。
少女たちは全員が同じ婚約者の為に、日々花嫁修業に励み、夜は祈りを捧げました。
「●●様、早く迎えに来てくれる日をお待ちしています。」
ある日、婚約者として選ばれるのは、最も優れた1人ではないのかと少女たちが喧嘩をしました。自分が婚約者として一番優れている、と譲らない少女たちに世話係の女は優しく話しかけます。
「大丈夫、あなた達は全員●●様のお嫁さんになれますよ。」
それを聞いた少女たちは皆笑顔になりました。
婚約の日に少女たちが連れてこられたのは、家の窓から見える石量が並ぶ場所でした。
少女たちに一つの短剣が渡されます。婚約者に会うにはこの場所で命を絶たねばならない、そう聞かされた少女たちは我先にと短剣を奪い合いながら自害しました。
その後、少女たちが死んだ場所に神殿が建てられました。神殿の名称は少女たちの婚約者の名前でした。