とある辺境の国に死をも恐れぬ戦士がいた。
戦士の屈強な体は弓等では射抜けぬと思える程に頑丈だった。
その為、戦士は常に戦場の真っただ中に身を置いていた。
ある時戦士の夢に美しい小鳥が現れた。
小鳥は、その勇猛な戦いを褒め称え「戦が終結し平和な世界となる事」か「不老不死の体」どちらかの願いを叶えようと囁いた。
戦士は「不老不死の体」を欲した。
それからの戦士の戦いぶりは目を見張るものであった。
敵を草を刈るようになぎ倒し、いくら弓を射たれてもいくら太刀を浴びても平然と敵の真っ只中を切り開いていくのだ。
王は戦士に数々の称号と褒美を与え、戦士の輝かしい栄光の日々は永遠に続くかと思われた。
けれど戦は終わる事なく、辺境の国はやがて滅び、戦火は拡大し辺り一帯は荒廃した。
草木は枯れ、人々は死に絶え、やがて戦士を知る者はいなくなった。
いくら飢えようとも死なぬ体で戦士は再び美しい小鳥の夢を見る。
戦士は死にたいと小鳥に懇願したが、小鳥は死ねないと答えた。
戦士は未来永劫死ぬことはないと囀った。