日出国の魔刃

遠い昔、黄金の島と呼ばれた国であらゆる金銀宝玉を溶かして作り上げられた刀。そのあまりの切れ味の鋭さでわずかでも切り傷をつけられると、傷が総合できずそこから全身の血が流れ出てしまうほどであった。

その刀が何の奇縁か貧しい身売りの女の手に渡ったときのこと。身の丈ほどもある刀を自在に操れない女は自分の床に刀をしのばせ、身体に触れる男にその刃を向けた。男達は知らぬ間に切られ、痛みも感じず血を抜かれて絶命していった。そして遺体から金銭を抜き取り、女の私腹は肥えていった。

やがてその金で自らを美しく着飾り、国のあらゆる金銀宝玉を手に入れた女は、その力に溶けた宝石も何とかして手に入れたい、身につけたいという欲望に駆られていった。その衝動を掻き立てるほど、刀身は美しく洗練されていたのだ。女は刀を持ち、鍛冶屋に向かう。

道中、その刀の重みに重心を崩した女は、橋の上から川に落ちてしまった。欲深い女は、それでも刀を手放さず、無我夢中で刀を握り締め離さなかった。そして体中に無数の切り傷をつけたことに気付かなかった女は、翌日河岸で全身の血を失った状態で死んでいた。

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