断罪の斧

精霊達が集う儀式があった。その年の十回目の満月の夜。月の光が差し込む美しい湖の畔に集まった彼女達は口々に今年の悪行の成果を自慢しあう。

ある精霊は自分がいかに残虐な方法で屈強な男達を殺したのか自慢していた。とある王国の精鋭の兵士だった男達は、娼婦に化けた精霊に身体のあらゆる部分を引きちぎられて死んだらしい。精霊はその男達が剣技を発揮出来ずに流した悔し涙がいかに旨いかを楽しそうに歌っていた。

次の精霊は自分がいかに狡猾かを喧伝していた。まずは小さな男の子を沼に沈める。それを助けようとした姉も沼に沈める。そうして親兄弟から親戚一同につながり、村人全員を沼に沈めたのだという。精霊はその様子を思い出したのか涎を垂らしながら微笑んでいた。

一番小さな精霊がおずおずと申し出る。私が一番凄いと思います。普段馬鹿にされていた小さな精霊が精一杯の声で伝える。私はあらゆる生命を恐怖のどん底に突き落としたんです!周りの精霊達はひたすら笑い転げていた。その笑い声が止んだのは、小さな精霊が開けた魔界への通路から出てきた醜いバケモノが全ての精霊を喰いちぎった後だった。

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