今は昔のお話です。
ある所に光り輝く羽根を持つとても美しい小鳥が、森の奥深くで静かに慎ましやかに暮らしておりました。
ある日、森の奥に口減らしの為に捨てられた子どもが迷い込みました。
飢え衰えた子どもを憐れに思った美しい小鳥は、自らの羽根を一枚啄ばみ子どもに渡しました。
子どもはそれを持ち帰ると大層喜ばれ、再び家族と暮らせるようになりました。
それを聞きつけた人が次々と森に押し寄せ、美しい小鳥に向かって自分が如何に貧しく不幸で報われぬかを訴えました。
憐れに思った美しい小鳥は一枚、また一枚と輝く羽根をむしっては与えむしっては与え、そしてとうとう最後の羽根も与えると、美しかった小鳥の姿はみすぼらしい体となり果てました。
それでもみすぼらしい小鳥は悔いなどありませんでした。
羽根を失い寒さに凍えるみすぼらしい小鳥の前に、いつかの子どもが現れ、恩返しの為に光輝く美しい小鳥を探しているのだと伝えました。
みすぼらしい小鳥は喜び、自分の願いを子どもに伝えました。
「それは私です、どうかその胸で私を温めてくれないでしょうか。」
けれど子どもはそのみすぼらしい小鳥を一瞥すると、嘘付きめと大きな剣で斬り捨て焼いて食べ尽くすと、また美しい小鳥を探し始めてしまいましたとさ。