血族の紋章

ある国に大変仲の良い二人の王子がいた。兄は剛の武術を
学び、弟は柔の武術を学んでいた。二人は互いの技を高め
合うべく、稽古を重ねた。

二人の王子は、その師に質問した。剛の武術と柔の武術、
どちらがより優れているのか?と。師は二人に一本の槍を
差し出した。

良い槍は、硬く鋭い槍先と、柳のようにしなる柄を備えてお
る。剛と柔ふたつを競うのではなく、合わせて統べるのだ。と
老いた師は語った。

その後、師は老衰により他界した。師が残した槍は、師の亡
骸と共に墓へ埋葬し、王子達は生涯互いを支えあって生き
ると亡き老師に誓った。その後、国は大いに栄えたという。

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