その昔、とある国に“剛の武将”と“柔の武将”という、二人
の優れた武人がいた。二人はお互いを認め、常に意識し、
鍛錬に勤しんでいた。この魔剣“古の覇王”に魅せられ、取
り合うことになるまでは…。剣を巡り、激しく衝突を繰り返
す二人。
魔剣を巡る争いは戦争へ発展する。剛の武将は自らが生
み出した鉄壁の布陣で、百戦錬磨の戦績。一方の柔の武
将は、型のない各々の力に任せた戦法。勝負の行方は誰に
も想像がつかなかった。
序盤は剛の武将が完全に戦局を支配していた。しかし次
第に柔の武将の臨機応変な戦略が剛を翻弄する。ところ
が、不利になるも意地を張り布陣を崩さない剛に、柔の
戦法も段々と通用しなくなっていく。戦局は混迷を極めた
……。
その後……戦の終わった跡地を訪れた村人はこう語った。
『剛の武将も柔の武将も二人とも、それは素晴らしい武人
だったよ。ただ、極端に優れていなくても、剛も柔も少し兼
ね揃えていれば、みんな幸せになれただろうに。』